管理会社の役割は大きく2つ
不動産投資で管理会社に業務を委託している大家にとって、管理会社との関係は収益を左右する重要なテーマです。まずは基本として、管理会社の役割を整理しておきましょう。大きく分けて2つあります。
建物管理
建物が壊れたときの状況確認、修繕方法の検討、オーナーへの報告と相談が主な業務です。これらを通じて、物件の資産価値を維持していきます。
入居者管理
入居募集から契約、家賃回収、さらにはゴミの捨て方の指導やクレーム対応まで、「人」に関わる業務全般を担当します。
大家にとっては、この2つを任せられる大切なパートナーです。だからこそ、良好な関係を保つことが何より大切になります。
換気扇の修繕見積もりが25万円だったら
とはいえ、関係を保つことと、何でも言いなりになることは別の話です。名取が実際に経験した事例で考えてみましょう。
入居者から「キッチンの換気扇が壊れた」という報告がありました。管理会社から届いた見積もりは25万円です。ところが、この物件の家賃は月4万円。換気扇1台の交換で、家賃の6カ月分以上が飛んでいく計算になります。
予算的に何とかならないかと、名取は管理会社に相談しました。返ってきたのは「それはできません」というはっきりした回答でした。理由はこうです。
「今の入居者は換気扇があることを前提に契約しています。設置しないのであれば、家賃を下げなければなりません」
正論には正論で返す
この主張は確かに正論です。入居者の居住環境を守るという観点では、まったく正しい指摘といえます。オーナーに寄り添って一緒に対策を考えてくれる存在だと思っていた管理会社が、「それが常識です」「それがルールです」とズバッと言い切ってきたわけです。
そこで名取は、こちらも論理で返すことにしました。
「オーナーである私の収益源は家賃だけです。この25万円も、その家賃から捻出します。ただし今、この物件には空室が3つあります。これを埋めれば、月15万円の収益が増えますよね。それなら、この空室を1カ月後にすべて埋めると約束してください」
つまり、「費用を出す以上、その原資である家賃収入を増やす努力にどこまでコミットしてくれるのか」を問いかけたのです。
都合の悪い質問には返事がない
この問いかけに対して、管理会社からの返事はありませんでした。「換気扇は必須です」と言い切る一方で、「では空室を埋める努力はどこまでしているのか」という質問には沈黙する。これが現実です。
都合の悪いことに返事をしないのは、管理会社に限った話ではなく、世の中のあちこちで見られる現象かもしれません。しかし、大家と管理会社は本来「パートナー関係」であるべきです。その場面でこうした姿勢が見られるのは、やはり問題があります。
対等な関係には「数字」と「具体的な要求」が必要
この経験から得られる学びは、管理会社と対等な関係を築くには、こちらも論理的に、具体的な数字を持って交渉する必要があるということです。
感情的に「高すぎる」と言っても、議論は前に進みません。次のような点を明確に示して初めて、対等な議論が成り立ちます。
- この費用を、どう回収するのか
- そのために、管理会社に何をしてもらう必要があるのか
- いつまでに、どの水準の結果を求めるのか
管理会社も、一つのビジネスとして動いています。大家の味方であるべき存在ですが、同時に自社の利益や都合も持っています。だからこそ、オーナー側も感覚ではなく数字で語り、具体的な提案と要求を行う姿勢が求められます。
「良好な関係」とは言いなりになることではない
管理会社との関係は、良好であるべきです。しかし「良好」とは「何でも言いなりになること」ではありません。
お互いが対等な立場で、論理的に議論し、Win-Winの関係を築いていく。これが本当の意味での「良好な関係」だと考えられます。
なお、この換気扇の件はまだ完全には解決していません。それでも、少なくとも「沈黙を許さない」姿勢は示しました。返事がなければ、あらためて問いかける。それが大家としての責任だという考え方です。
管理会社と交渉するときの実践ポイント
事例から、日常の管理会社対応に活かせるポイントを整理すると、次のようになります。
- 見積もりが出たら、その費用が家賃の何カ月分にあたるかを把握する
- 費用の回収方法(空室の解消、家賃設定の見直しなど)をセットで考える
- 管理会社に求める行動と期限を、数字で具体的に伝える
- 回答がなければ、うやむやにせず再度問いかける
- 相手の主張が正論であれば認めたうえで、こちらの論点を提示する
感情ではなく数字を軸にすることで、相手も対応しやすくなり、建設的な話し合いにつながります。
まとめ
- 管理会社の役割は「建物管理」と「入居者管理」の2つで、大家にとって欠かせないパートナーである
- 家賃4万円の物件で換気扇の見積もりが25万円という事例では、費用が家賃の6カ月分以上にのぼり、管理会社の「できません」という正論との間で交渉が必要になった
- 正論に対しては、「空室3つを埋めれば月15万円の増収」といった数字を示し、約束を求める形で論理的に返す
- 都合の悪い質問に沈黙する管理会社もあるため、回答がなければ再度問いかけ、沈黙を許さない姿勢が重要
- 良好な関係とは言いなりになることではなく、対等な立場で数字をもとに議論し、Win-Winを目指すことである
レバレッジ型不動産投資を体系的に学びたい方へ


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