賃貸需要の調査は欠かせないが、やり方に注意が必要
収益物件の購入を検討するとき、その地域に本当に賃貸需要があるかどうかの調査は欠かせません。一般的な方法のひとつが、エイブルやアパマンショップなどの賃貸不動産会社にヒアリングすることです。
ただし、このヒアリングにはひとつ大きな注意点があります。進め方を誤ると、購入が直前でできなくなる事態も起こり得ます。実際に起きた事例をもとに、その理由を見ていきます。
実際に起きた事案
先日、物件を購入しようとしていた人が、直前で買えなくなってしまいました。原因は、買主候補が売買の仲介不動産会社に断りなく、賃貸の管理会社へヒアリングしてしまったことです。
その後の流れは次のとおりです。
- 売主は「物件の売却情報を管理会社にはまだ知られたくない」と考えていた
- 買主候補が勝手にヒアリングしたことで、その情報が回り回って売主の耳に入った
- 売主が大激怒し、物件の売却そのものが売り止めになった
- 売買の仲介不動産会社は、売主から以後の取引中止を宣告された
- 銀行の融資も確定していたのに、取りやめになった
買主候補が残念な思いをしたのはもちろん、それ以上に、仲介会社や銀行を巻き込む大きな事態に発展した事案でした。
なぜ売主は管理会社に知られたくないのか
売主には、売却の情報を管理会社にまだ教えたくない、一般に公開したくないと考えるケースが多々あります。
売却を検討していることを入居者や管理会社に知られたくない、売却の時期や方法を自分でコントロールしたい、といった事情が背景にあると考えられます。買主の側からは見えない事情があることを、前提にしておく必要があります。
事前に確認すべき手順
賃貸需要の調査そのものを避ける必要はありません。大切なのは、順番です。
売買の仲介不動産会社に確認する
賃貸不動産会社へヒアリングを行う前に、売買の仲介不動産会社に「賃貸の不動産会社にヒアリングしてもよいか」を確認します。仲介会社は売主とやり取りしているため、売主の意向を把握できます。
許可を得てから動く
仲介会社を通じて、売主が了承していることを確認してから、ヒアリングを開始します。許可が出ないときは、他の方法で賃貸需要を調べることを検討します。
勝手に動かない
少しでも早く調査を進めたい気持ちがあっても、独断でヒアリングを始めるのは避けましょう。物件の購入だけでなく、仲介会社や銀行との信頼関係まで失うリスクがあります。
調査の目的を見失わない
賃貸需要の調査は、あくまで購入を判断するための手段です。調べること自体が目的になり、取引そのものを壊してしまっては本末転倒です。
特に、融資の承認が出ていたり、購入の段取りが進んでいたりする段階ほど、ちょっとした行き違いの影響が大きくなります。売主や仲介会社がどの情報をどこまで外に出してよいと考えているのかを、常に意識しておきましょう。
また、ヒアリングの許可が得られた場合でも、物件名や売却の事情など、必要以上の情報は伝えないという配慮も大切です。聞きたい内容を整理し、賃貸需要に関する情報に絞って質問する姿勢が、トラブルを避けるうえで役立ちます。
失うものの大きさを考える
今回の事案が教えてくれるのは、確認を怠ったことの代償の大きさです。
- 物件を買う機会を失う
- 仲介会社から取引停止を言い渡される
- 融資が確定していても取りやめになる
売買の不動産会社や銀行との関係は、今後の購入にも影響する大切な資産です。ひとつの確認を省いたことで、それらをまとめて失うのは割に合いません。不動産取引は、売主、買主、仲介会社、銀行といった複数の関係者の信頼の上に成り立っていることを、あらためて意識したいところです。
確認の習慣を購入の流れに組み込む
トラブルを防ぐには、個別に注意するよりも、購入までの流れの中に確認のステップを最初から組み込んでおくのが確実です。たとえば、物件の紹介を受けた時点で、現地調査や周辺ヒアリングをどこまで行ってよいかを仲介会社に尋ねておけば、後から慌てることはありません。
まとめ
- 賃貸需要の調査で賃貸不動産会社にヒアリングする方法は有効だが、進め方に注意が必要
- 売主には、売却情報を管理会社に知られたくないケースが多々ある
- 無断でヒアリングした結果、売主が激怒して売り止めになった事例がある
- その事案では、仲介会社が取引中止を宣告され、確定していた融資も取りやめになった
- ヒアリングの前に、売買の仲介不動産会社へ「賃貸会社に聞いてよいか」を必ず確認する
- 取引は複数の関係者の信頼の上に成り立つため、確認を省くことの代償は大きい
レバレッジ型不動産投資を体系的に学びたい方へ


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